はじめに
日々の診療情報を管理するカルテは、動物病院にとって欠かせない存在です。完全に紙カルテで運用されている場合はもちろん、既に顧客管理システムや会計ツールを導入しているものの、医療記録だけは依然として紙で管理しているといった部分的な電子化の場合にも、さまざまな課題が生じています。例えば、「紙カルテが無限に増えていく」「保管棚が手狭になり院内スペースを圧迫している」「カルテが行方不明になり、探すのに時間がかかる」といった状況に直面されているのではないでしょうか。また、「いつかは電子カルテに切り替えたいけれど、部分的な電子化では医療記録が残ってしまい、紙が完全になくならない」というお悩みや、移行の大変さに踏み出せないと感じている方も多いはずです。
そこで、Vet360はこうした紙カルテや部分的な電子化の課題を解決すべく、業界全体のデジタル化を推進するために開発されたクラウド型電子カルテシステムです。紙カルテの管理負担を解消し、診療記録の検索性向上と業務効率化を実現するだけでなく、顧客管理や会計機能も搭載しているため、動物病院全体の情報を一元管理することが可能です。さらに、電子カルテの導入によってデータの紛失リスクを大幅に軽減し、長期的な視点で病院経営の安定化にも寄与します。
本記事では、紙カルテからVet360へ移行する際の具体的なプロセスや注意点を詳しく解説します。電子カルテへの切り替えは一大プロジェクトですが、適切な準備とサポートのもとで進めることで、スムーズな移行が可能です。長年紙カルテまたは部分的な電子化で運用されてきた動物病院様にも、負担を最小限に抑えながら全体の情報を一元管理する方法をぜひご参考いただければと思います。
- はじめに
- Vet360導入のメリット
- 業務効率化とペーパーレス化
- 診療情報の共有と検索性向上
- バックアップ・セキュリティ強化
- Vet360導入の概要
- 導入開始時の検討すべきこと
- 導入期間に行うこと
- 利用開始直前に行うこと
- 利用開始後に行うこと
- まとめ
Vet360導入のメリット
業務効率化とペーパーレス化
紙カルテを電子化することで、カルテを棚から探す・保管の手間を大幅に削減できます。時には院内で紛失カルテの大捜索が始まったこともあるかもしれませんがその心配もなくなります。院内スペースをより有効活用できるだけでなく、カルテ探しの時間を診療や飼い主様対応に充てることで、業務効率が飛躍的に向上します。さらに、中長期的には紙の購入や保管にかかるコストを削減できるため、経営面でもメリットがあります。
診療情報の共有と検索性向上
電子カルテを導入することで、過去の診療履歴や検査結果を迅速に検索・参照できるようになります。これにより、スタッフ間の情報共有がスムーズになり、診療精度の向上にもつながります。特に、診察室と受付間でリアルタイムに情報を確認できる点は、飼い主様の満足度向上にも寄与します。また、Vet360はクラウド型のため、インターネット接続さえあれば院内外を問わずどこからでもアクセス可能です。これにより、緊急時やリモートでの対応が必要な際にも、迅速かつ的確に情報を確認し、活用することができます。
バックアップ・セキュリティ強化
紙カルテは紛失や劣化のリスクがある一方、電子カルテではデータがクラウド上に安全に保管されます。これにより、災害などの不測の事態でもデータを失う心配がありません。特に火災や水害の場合、紙カルテが一瞬で使用不能になるリスクが高いため、電子カルテを採用することで重要な診療データの保全が可能になります。さらに、アクセス権限の設定により、データの機密性も高められます。

Vet360導入の概要
導入開始時の検討すべきこと
■ 移行対象データの確認
電子カルテ導入において最も重要と言っても過言ではないのがデータ移行です。移行可能な情報としては、飼い主・ペット情報、予防歴、料金・薬剤のマスタデータが対象となります。現在どのように管理されていて、電子データとして入手可能かどうか早々に確認します。紙の台帳などで管理している場合には、データ化する必要があります。なお、紙カルテに記載された日々の医療記録は移行対象外となってしまいますが、電子カルテ利用開始直後にしばらく参照用として利用頂くことで徐々に電子カルテのみでの運用へ切り替える方法が一般的です。
■ 導入体制と担当者の選定
電子カルテの導入・運用を円滑に進めるために院内で「システム担当者」を選定することを強く推奨いたします。この担当者は、システムの設定や操作習熟、トラブル時の一次対応を率先して行い、院内でのサポート窓口としても振る舞います。適任者を早期に決定し、弊社導入担当者と連携を密にすることで、導入作業がスムーズに進みます。
■ 予約システムの利用要否の確認
Vet360の導入に合わせて、オンライン予約機能を利用するかどうかを検討します。また、既に予約制で診察を行っており、他社様の予約サービスを利用している場合にはVet360の予約システムへ切り替えて集約することで、受付業務の効率化が期待できます。移行期間などの切り替えスケジュールを決めて、予約サイトの設定や飼い主様への案内が必要となるため、優先的に検討を開始することが大切です。なお、他社様の予約サービスと併用する運用も可能ではありますので、悩まれたり、ご希望の場合にはお気軽にご相談ください。
■ IT端末やネットワーク等の現状確認
電子カルテを導入するにあたり、院内で利用可能なパソコンやタブレット、ネットワーク環境の現状を確認することが重要です。これまで紙カルテ運用が主であった病院では、これらの設備が十分に整備されていない場合があります。そのため、必要に応じて端末やネットワーク機器を追加購入し、運用に支障が出ない環境を整える必要があります。また、インターネット接続が不安定な場合には、回線速度やルーターの性能を見直し、通信の安定性を確保することが求められます。
導入期間に行うこと
■ 飼い主/ペット/予防情報のデータ移行
紙カルテで管理していた飼い主やペットの情報、予防接種履歴などを電子カルテに移行します。この作業は、病院様に元データをご提供いただき、弊社にてデータの分析と加工を行います。その後、詳細な移行方針を病院様と共有し、判断いただく形で進めます。このプロセスにより、正確かつ効率的なデータ移行が可能となります。また、移行後の運用がスムーズになるよう、院内全員で方針の認識合わせを行っていただくことを推奨します。
■ マスタデータ登録
これまで運用してきた料金や薬剤情報などのデータを電子カルテに登録していきます。Vet360では、標準的なサンプル項目やテンプレートを用意しているため、それらを活用しつつ、病院独自の項目を追加・調整することが可能です。これにより、移行後の運用がスムーズになり、迅速にデータを活用できるようになります。
■ 操作トレーニング
Vet360の基本操作について、弊社導入担当者がオンライン、および現地訪問でトレーニングを実施します。これまで紙カルテを使用していた方々にもわかりやすい説明を心がけ、診療フローを想定した実践的なトレーニングを行います。また、導入後もヘルプサイトやオンラインマニュアルを活用することで、操作に関する疑問を解決しやすい環境を整えております。加えて、導入支援中には専用のチャットグループを設置し、いつでもご質問いただくことが可能です。
■ 病院独自の診療テンプレート作成
Vet360の最大の特徴であるカスタマイズ可能な診療テンプレートを作成します。例えば、予防接種の記録用テンプレートには、予めワクチン接種に関する入力用セクションを表示させることができたり、手術用のテンプレートでは術前検査結果や使用した薬剤の詳細を記録するフィールドを設定しておいたりとシチュエーションに合わせて用意することができます。これにより、診療時の入力作業が効率化されるだけでなく、情報の一貫性と正確性が保たれます。テンプレート作成は導入担当からサンプルもご案内させていただきますので、参考にしていただきながらご検討いただくことができます。なお、テンプレートは運用中にもユーザーにて随時編集が可能であり、病院のニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。
利用開始直前に行うこと
■ 検査機器との接続
血液検査機器などの検査機器をVet360に接続することで、診療データを一元管理できます。この接続により、検査結果を手動で入力する手間が省けるだけでなく、データの正確性が向上し、診療の質向上が期待できます。特に多くの検査を行われる病院では、ミスの防止や業務のスピードアップにつながるため、大きなメリットがあります。接続には特定のケーブルやソフトウェア設定が必要になるため、導入担当者がサポートいたします。順次連携対象を追加しておりますので、導入予定の機器が連携可能か不明瞭な場合にはお問い合わせください。
■ 最終データ移行と検証
移行されたデータが正確に反映されているかを、実際に運用していく環境で詳細に確認します。この段階では、データの不整合や欠落がないかを重点的にチェックし、必要に応じて本番利用開始までに修正を行います。これにより、運用開始後のトラブルを未然に防ぎ、スムーズなスタートを実現します。スタッフ全員で検証結果を共有し、全体での認識合わせを行うことも重要です。また、切り替え時点で内金(前受金)や未収金が発生しているお客様の情報も必要に応じてVet360へ反映する必要があります。
■ ロールプレイ
システム操作だけでなく、実際の診療フローに合わせてスタッフ同士でのロールプレイを行い、受付時や診察時の操作タイミングを確認します。特に直近で来院があった患者様の紙カルテ記録を基に電子カルテ内で再現してみることで、リアリティのある練習が可能となります。この過程で、スタッフ間の役割分担や動線を確認し、実運用に近い形で課題を抽出します。改善が必要なポイントが明確になることで、利用開始後の業務効率が向上し、患者対応の精度も高まります。
■ 予約システムの切り替え(必要な場合のみ)
Vet360の予約システムに切り替えをする場合には、実際に切り替えるタイミングよりも先に飼い主様へご案内を行っていただく必要があります。なお、切り替える際には、過去の予約サービスで受付けた予約に対して、当日来院した際にVet360で受け付けることが発生します。その場合には必要に応じて、予約情報をVet360に事前に反映しておくと当日の受付がスムーズに対応できます。

利用開始後に行うこと
■ 振り返りと運用、設定の見直し
実運用を開始した直後は、課題や改善点が多く見つかる時期です。これらをタイムリーに把握するために、院内での振り返りや情報共有の場を頻繁に設けます。例えば、診療終了後に短時間のミーティングを行い、課題や成功事例をスタッフ間で共有することで、設定や運用の見直しを迅速に進めることができます。これにより、電子カルテの運用が早期に安定化し、患者対応の質も向上します。
■ 定期業務のイレギュラー対応
ペット保険会社への月次請求など、定期的に行う業務において、電子カルテを利用開始した月だけイレギュラーな対応が必要になる場合もあります。具体的な対応方法は病院様の状況に合わせて、導入担当からご案内させて頂きますので、ご安心ください。
■ 定期的なサポートの利用
いざ実業務の中で電子カルテを利用すると、事前のトレーニングでは想定できていなかった細かな疑問などが出てくることもあります。その場合には、Vet360の導入担当者やサポートデスクの問い合わせ窓口へ積極的に質問いただくことをお奨めします。些細な疑問や問題点でも迅速に解決できるため、ストレスなく運用を進めることができます。また、操作マニュアルやオンラインのFAQを確認することで、効率的に情報を得られます。

まとめ
Vet360の導入は、紙カルテからの移行を検討している病院にとって大きなメリットをもたらします。また、少しでも早く電子化・デジタル化しておくことが中長期的な病院の発展においては非常に重要になります。業務効率化、診療の質向上、データ保護の強化など、多くの利点を享受できるだけでなく、飼い主様へのサービス向上にも繋がります。
病院にとって大きな取り組みとなる電子カルテの導入を、弊社導入担当がしっかりと伴走してサポートさせていただきます。導入や運用に関するご質問や疑問点がございましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。