約40年、地域に根ざしてきた動物病院
ー 古谷動物病院についてお聞かせください。
大塚先生: 古谷動物病院は、1985年に義父が開業した病院です。昨年でちょうど40年になりました。私が院長を引き継いだのは一昨年の7月なので、もうすぐ2年になります。
所在地は東京都品川区の旗の台です。病院の近くには昔ながらの商店街があり、戸越銀座の方まで続いています。飼主さまも、ご自身でお店をされている方が多かったりして、下町っぽさのある地域ですね。診療対象は、現在は犬猫のみです。スタッフは獣医師、看護師、トリマーを合わせて約12名で診療しています。
当院では整形外科に力を入れています。先日も韓国で、人工股関節の手術に関する実習セミナーを受けてきました。
人工股関節は、整形外科の中でも専門性が高い分野です。国内でも対応されている先生は多くないので、これから技術を習得して、病院としてもさらに強みを伸ばしていきたいと考えています。
日々使う中で見えてきた、電子カルテの“次の課題”
ー Vet360を導入する前は、どのような課題がありましたか。
大塚先生: 電子カルテ自体は、私がこの病院に来たタイミングですでに導入されていました。紙カルテでは検索性や顧客全体の管理が難しいため、電子カルテを使うこと自体は必要だと感じていました。
一方で、日々使っていく中で「もう少しこう使えたらいいのに」と感じる場面もありました。診療記録を残すことはできても、あとから必要な情報を取り出したり、データとして分析に活かしたりするには、もう一歩工夫が必要だと感じていました。
これから音声入力やAI、データ分析を活用していくことを考えると、電子カルテもただ記録を残す場所ではなく、情報を活かすための土台になっていく必要があると思っていました。
ー 複数の電子カルテを比較された中で、Vet360を選んだ理由を教えてください。
大塚先生:いくつかの電子カルテを検討して、それぞれ良いところはありました。診療の流れに沿って使いやすそうなシステムもありましたし、拡張性の高い基盤を持つシステムは、今後API連携などの発展性がありそうだと感じました。AIがいろいろ使えるようになっていく中で、外部サービスと連携しやすい基盤は魅力的だと思いました。
一方で、費用面も含めて考える必要がありました。電子カルテは毎月使い続けるものなので、機能だけでなく、費用対効果も重要です。
その中でVet360は、これからさらに良くなっていく将来性を感じました。時代に合わせて電子カルテを進化させていく姿勢や、開発のスピード感に期待できると思ったことが大きかったです。
実は、一度導入を見送った時期もありました。当時も魅力は感じていましたが、「きっとこれからもっと良くなっていくはず」と思い、もう少し開発が進むのを待っていました。
その後、実際に機能が増え、使いやすさも広がってきたことで、「期待していた方向に進化している」と感じました。そこが、改めて導入を決める大きな後押しになりましたね。
蓄積したデータを、経営判断に活かす
ー Vet360を導入して、データ活用の面ではどのような変化を感じていますか。
大塚先生:導入してまだ半年ほどなので、「何かが大きく変わりました」と言い切る段階ではありません。ただ、データが蓄積できてきていることは大きいです。
以前の電子カルテでは、出力できるデータに限りがありました。Vet360では必要なデータを抽出できるので、それを整理し、分析に活用する体制が作りやすくなっています。
たとえば、どのような予防提案や継続ケアが必要とされているのか、どのタイミングで追加の検査や処置をご案内できるのか。飼主さまごとの来院頻度や、特定の処置を受けた後の来院傾向なども、今後は細かく見ていけると思っています。
ただ、データは出すだけではなく、継続して見ていくことで活用につながるものだと感じています。毎月データを蓄積して振り返ることで、感覚だけでは見えにくかった傾向を把握し、次の打ち手を考える材料にしていけると思っています。
こうしたデータの蓄積は、日々の診療だけでなく、経営の振り返りにもつながっていきます。売上や来院状況を整理して見られるようになると、感覚だけでは気づきにくい傾向にも目を向けやすくなります。

音声入力とAIで、記録を次の活用へ
ー 大塚先生は、音声入力やAIにも早くから取り組まれています。どのような可能性を感じていますか。
大塚先生:診察室での会話を音声入力で文字起こしし、それをSOAP形式に整理する流れは、以前から試していました。診療中の会話をもとに記録を作成できると、あとからカルテを書く負担を減らせますし、飼主さまとの会話にも集中しやすくなると感じています。
AIについても、SOAPにまとめるだけでなく、優先順位の高い鑑別診断や、次に提案すべき検査・治療の整理に活用できると感じています。もちろん、AIが出した情報は獣医師が確認する必要がありますが、自分がぱっと見落としてしまうような点を補う意味では役立つ場面があります。
今後、Vet360上でもAI音声カルテやVetsAskAIの活用が進むことで、これまで別々に行っていた記録作成やAIへの相談が、カルテの中でより自然につながっていくことに期待しています。検査結果を踏まえた整理や、飼主さま向けに何を伝えるかの整理、同意書や計画報告書の作成などにも広げていけると、診療記録の使い方はさらに変わっていくと思います。
一次情報を残し、必要な時に引き出せるように
ー 今後、Vet360で実現したいことはありますか。
大塚先生:電子カルテという文脈でいうと、重要な一次情報をどう記録して、どう引き出せるようにするかが大事だと思っています。
診察中の会話や、飼主さまのちょっとした言葉、スタッフとのやり取りなど、あとから見ると大事だったと気づく情報があります。そういった情報をきちんと残し、必要な時に見返せるようにしたいです。
将来的には、体重、体温、呼吸、心拍などの簡単な身体検査が、自宅やマンション、病院などで自動的に記録され、それが電子カルテに反映されるような仕組みもあるといいなと思っています。
オンライン診療でも、今はまだ一次情報が足りず、「結局来てもらわないとわからない」という場面があります。より詳しい情報が電子カルテと連動して残るようになれば、予防や健康管理にも活かせると思います。
経営を考えるなら、早くから情報を整えておく
ー 最後に、電子カルテ導入を検討している先生へメッセージをお願いします。
大塚先生:これからの動物病院は、愚直に診療を行うことが大切である一方で、それだけでは難しい時代になってきていると感じます。経営をきちんと考え、病院を運営していく視点も必要だと思っています。
その中で、飼主さまの傾向を分析したり、来院データを見たりすることはとても重要です。ただ、レセコンだけでは難しい部分も多いと思います。だからこそ、電子カルテで、かつ情報が整理されて取得できるものを、早いうちから使っていくことが大切だと思います。
日々の診療情報をただ記録するだけでなく、あとから活用できる形で残していく。Vet360は、その土台になる電子カルテだと思います。